コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の34回は、1月22日に最終日を迎えた江戸川ボート「G1江戸川大賞 開設65周年記念」を振り返りたい。江戸川ファンなら慣れっこと思うが、開幕日の16日が強風高波浪による水面状況の悪化で中止に。日程が1日ずつスライドして、22日が優勝戦となった。

注目の優勝戦、西山貴浩が2度目のG1優勝

注目の優勝戦は、昨年から勢いに乗る西山貴浩がインからコンマ07のトップスタートで危なげなく逃げ切り、昨年9月の徳山ダイヤモンドカップに続く、2度目のG1優勝を果たした。自信というものは不思議なもので、これまで記念戦線の脇役に過ぎなかった西山が、今では記念の主力クラスの貫禄で走っている。「江戸川鉄兵」こと石渡鉄兵も、江戸川G1・4勝の濱野谷憲吾も、SG・10勝の瓜生正義も、西山の前でなすすべがなかった。西山にとって自信こそ何よりの原動力。SG制覇も現実味を帯びてきたと言っていい。

2着の濱野谷もさすがの航跡だった。優勝戦は平尾崇典が3コースから振り込む事故レースとなったが、濱野谷は5コースから平尾の外を迷わず握って回り、逃げる西山にも迫った。唯一の河川を利用した日本一の難水面で、迷わず問答無用の握りマイに出る濱野谷のレースぶりに、47歳の今でも競艇界の「レジェンド」として強く存在感を放ち続ける訳がある。安直に手堅い差し構えに出る癖が付いている若手は、濱野谷がなぜファンに愛され、支持されるのかを、真剣に考えた方がいいかもしれない。優勝した西山にも負けない、素晴らしいパフォーマンスだった。

期待されていた君島、関は惜しくも敗退

一方、まず「喝」を入れなければならないのは、君島秀三だろう。びわこボート育ちの波巧者で、キップのいいレースぶりには好感を持っているが、準優12Rでは最終2マークでターンを失敗。濱野谷に抜かれて3度目のG1優出を逃した。執拗に濱野谷に迫られ、冷静さを欠いた挙句のターンミス。得意の波水面で、待望のG1初制覇の可能性もあっただけに、痛恨のミスだった。

さらに最終日11Rの特別選抜A戦(1号艇)では、インからターンマークを大きく外す残念なレース。2マークこそ、君島らしい豪快な握りマイを放ち、2着は死守したが、大事な場面でしっかり結果を出せないようでは、G1タイトル奪取は難しいだろう。期待している選手だけに、あえて「喝」を入れさせてもらった。

また今節、最も期待していた関浩哉は、ドカ遅れした初戦こそ、彼らしい握りマイ連発で2着発進したが、9戦して舟券絡みはわずかに3回。特に、最終日の7Rは絶好の1号艇ながら、3コースの井口佳典のツケマイ一撃に沈むなど、残念なシーンが多かった。スピードが真骨頂の関が、格上の井口が相手とはいえ、インでまくられているようでは話にならない。モーター劣勢だっただけに、差されるのは仕方ないが、絶対まくらせないという気迫だけは

見せて欲しかった。群馬支部を背負って立つ逸材だけに、猛省が必要だ。

おまけ:クセのある江戸川ボートについて

それにしても、全国24場で最も個性的と言っていい江戸川ボートには、熱狂的なファンが少なくない。何しろ、レースコースが本物の河川(中川)で、うねりや波風、潮の干満など、自然の影響をモロに受けるのだから、選手の江戸川コースの巧拙が顕著に出るのも仕方ないところか。

待機行動中に(波風で)転覆なんていう珍事が起こるのも江戸川ボートなら、航行船の通行でレースが中断されたり、40cmを超す波高の中でレースが行われたりしたのも江戸川ボート。今思えば、江戸川ボートの斡旋を拒否する選手が多かった(2001年以降斡旋拒否は原則不可能に)のも、江戸川ボートの懐かしい歴史と言えるかもしれない。

今から63年前の1958年に、当時「特別競走」と呼ばれた全日本選手権が江戸川で開催されたことはあるが、グレード制導入後、全国24場で唯一、SGレースが開催されていないのは江戸川だけ。賛否両論があるだろうが、日本一の個性派&難水面でSG開催が行われる日を切望している。