コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の31回は、1月12日に尼崎ボートで開幕する「G1 尼崎センプルカップ 開設68周年記念」について。今節には、地元の吉川元浩を含め、昨年SGを制した6選手を含めた精鋭51人が集結。中でも、悲願のG1タイトルを奪取し、2021年に飛躍を期す伏兵陣に激励の「喝」を入れたいと思う。

豪華顔ぶれ揃い踏みの場でこそスターは生まれる

賞金王の峰竜太を筆頭に、昨年のSGを制した吉川元浩、篠崎仁志、徳増秀樹、寺田祥、深谷知博が勢ぞろいする2021の尼崎G1第一弾。彼らに加え、松井繁、原田幸哉、魚谷智之、白井英治、池田浩二、中島孝平、馬場貴也、新田雄史、篠崎元志と、SG戦線でも主役を張る銘柄級が多数顔をそろえている。

彼らビッグネームを前にすると、委縮して、普段のレースができなくなる選手も少なくないが、大きな壁を打ち砕いてこそ、飛躍が待っているのは歴史が証明している。今ではバリバリの記念レーサー(SG・2勝、G1・9勝)として定着している辻栄蔵の飛躍のきっかけは、2003年のオーシャンカップでの大番狂わせVだった。

新鋭リーグをのぞけば一般戦の優勝しかなかった辻が、上瀧和則、濱野谷憲吾、山崎智也、吉川元浩、原田幸哉の猛者を相手に、SG初優出で初優勝。その2年後には賞金王決定戦を制したのだから、選手生活での決定的な分岐点となったのは間違いない。デビュー当初から辻を見て感じていたことは、負けん気の強さ、強烈な上昇志向が顕著だったこと。勝ちたいではなく、絶対勝つという気迫があったからこそ、SG初優出の舞台でも普段通りのレースができたと思っている。

2021年に飛躍を期待する選手の筆頭は藤岡俊介

さて、2021年に飛躍を期待する選手を挙げたい。まずは地元の藤岡俊介だ。昨年は優勝5回と、勝負強さが増したシーズンだった。ご存じの通り、速攻力は記念級で、昨年のように勝負へのこだわりをレースで前面に出せば、G1、SG戦線でも十分通用する逸材と言える。

幸い、兵庫支部には、気迫で走るタイプの吉川元浩、魚谷智之という、素晴らしい手本がいる。同じ兵庫支部で同期(94期)の稲田浩二が、2019年の戸田63周年と昨年の宮島66周年でG1を2勝して、一足先に飛躍を遂げているのも、刺激となっているに違いない。同じ94期の岡崎恭裕はSGレーサーで、一期後輩の峰竜太は現役最強の強さを発揮している。

仮に藤岡が「彼らとは力が違うから」などと思っているなら、何も変わらず、一般レーサーのままで終わるだろう。峰やSGの常連組は別として、大半の記念級レーサーも藤岡も、技術面では大差ないと思っている。藤岡にG1のタイトルがないのは、勝負に対する厳しさがタイトルホルダーに比べて少しだけ不足しているという点か。

藤岡は現在37歳。「今回の地元G1でタイトルを絶対取る!」という強い意志で、レースに挑んでもらいたい。常にひたむきにレースに臨む藤岡の姿に、信頼を寄せるファンは少なくない。結果はどうであれ、勝負所で舟を引かない、競り合いは気迫で挑む。これがG1タイトルを手にするかどうかの分かれ目。今節の尼崎G1がレーサー人生の分岐点となることを願っている。

タイトルがない選手から優勝者が出れば盛り上がりは必至

今回、地元尼崎からは、SGレーサーの吉川、魚谷を筆頭に、G1覇者の金子龍介、稲田ら総勢8人が参戦する。SG&G1タイトルがないのは、藤岡、白石健、古結宏、高野哲史の4人で、この中から優勝者が出るようなら、2021年のボートレース界はより面白くなる。

白石健は優勝76回の実力派。速攻力は艇界でも屈指の存在で、記念タイトルがないのが不思議と言える。高野哲史は吉川元浩の愛弟子で、切り込むスピードは記念戦線でも引けは取らない。そして最後に古結宏。一般戦ではピンを並べることも多い選手だが、記念になると伏兵の域を出ない。テクでは大きく劣らないが、トップクラスとは精神面の差が小さくない。

G1・SG戦線で言えることは、気持ちの持ち方次第で大きく左右されるということ。コース取りから道中の競り合いまで、臆することなく、気迫あふれるレースを見せてもらいたい。選手生活を変える分岐点は、自らの気持ちでつかみ取るしかない。