コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第25回は、平和島ボートで開催された「SG 第35回グランプリ(シリーズ戦)」を振り返ってみたい。「グランプリ」は峰竜太がインから貫禄の逃げ切り勝ちで、2018年に続く2回目のグランプリ制覇。「シリーズ戦」は2コースから差した深川真二が、バック3艇並走から2マーク先取りで、2回目のSG優勝を決めた。峰は今年14回目の優勝で、SGタイトルは4個目の戴冠となった。

圧勝の峰竜太、そして峰に負けない存在感のレジェンド松井繁

「コンマ01」。グランプリの優勝戦で、タッチスタートを決めた時点で、峰の優勝は決まった。インから競艇史上で最強と断言できる高速旋回で圧勝。他の6艇が付け入る隙など全くない。今年の獲得賞金1位という実力で得た初戦の1号艇(1着)。人知れぬ日々の努力が呼び込んだ2走目の1号艇(1着)。3走目こそ5着に敗れたが、実力で優勝戦1号艇を勝ち取った時点で、勝負あり! だった。

それにしても、グランプリ優勝戦という究極の舞台で、峰のコンマ01を筆頭に、6人全員がコンマ0台という、狂気とも言えるスリット合戦を演じたことに、正直驚きを隠せない。一年で最もフライングを冒してはならないレースで、自らの危険を顧みずにプライドを激突させた6人には、素直に敬意を表さなければならないだろう。

仮に峰がフライングだったら……。私のような凡人は、ついグランプリ優勝戦での1号艇フライングという地獄絵図を想像してしまう。だが、日々の努力を怠らず、ファンの期待を背負い、最後まで攻めのレースを貫いた男には、地獄の死者ではなく、天の恵みが待っていた。そう感じずにはいられなかった。

この優勝戦で、峰にも負けない存在感を放ったのが、「レジェンド」松井繁だ。6号艇から迷わず前付けに動き、5号艇の平本を引き波に入れて4コースを奪取した気迫は、多くの選手が見習わなければならないだろう。生涯獲得賞金1位、SG・12勝のレジェンド・松井だからこそ許される前付け、とも言えるが、その気迫がなければ、51歳でグランプリの優勝戦に駒を進めることなどできない。

ただコースを奪うだけではなく、スロー4コースからコンマ03のスタートを決め、外のダッシュ2艇の攻撃を封じた。最近は若手にスピード負けするなど、衰えを隠せなかった松井だが、ここ一番で、当たり前のように、そんな芸当を演じ切るあたり、まだまだ「レジェンド」としての輝きは消えそうもない。年齢的にも、かつての輝きを常時放ち続けることは難しいが、ここ一番で存在感を発揮することは、忘れてはならない。そんな思いを再認識した。

気迫の深川がシリーズ戦を制す結果に

一方、「シリーズ戦」を制した深川も、気迫がみなぎっていた。2コースからコンマ12のトップスタートでイン池田浩二にプレッシャーをかけ、得意の2コース差しから2度目のSGタイトルを奪取。3艇並走の1周バックでは、節一パワーを誇る坂口周が真ん中伸びかけたが、最内から艇をねじ込む姿は、深川らしい鬼気迫るものがあった。問答無用の前づけ策など、平成デビューでも、松井同様、「昭和の競艇」の匂いを色濃く残す深川。こうした個性的な男がいないと、競艇の代名詞である「水上のバトル」が盛り上がらない。グランプリ同様、シリーズ戦も年末を締めくくる素晴らしいレースだった。

平和島グランプリ総括:熱いレースに胸が躍った

勝手気ままに「喝」を入れることが多い当コラムだが、平和島グランプリ最終日は、素直に好レースが多かった。1Rは3コースから差した徳増秀樹が、バックで最後まで引かずに2マーク先取り快勝。徳増は8Rでもカドから真骨頂の絞りまくりで、今年のグラチャン覇者の意地を見せた。

2Rでは6号艇の須藤博倫が目の覚める大外まくりを決めた。その須藤は6Rでもカドからぐいぐい絞りまくりを放ち、差されながらも2着。流れ作業のような、枠番通りのレースが当たり前という昨今のボートレースで、「競艇」を感じさせる熱いレースを見せてくれた。

かつての「競艇」のように、コース取り→1マークの攻防→道中競りと、最後まで手に汗握るレースが増えてくれれば、もっともっと「ボートレース」は面白くなる。女子版のグランプリである、年末の「プレミアムG1クイーンズクライマックス」でも、鵜飼菜穂子さん(引退)や、日高逸子、寺田千恵らが体現してきた、熱い「競艇」が見られることを期待したい。