コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第23回は、12月14日に幕を閉じた「G3 住之江レディスカップ(オールレディース)」を振り返ってみたい。

大御所3人はモーター劣勢も勝ち上がりベテランの意地を見せた

まず、寺田千恵(51)、田口節子(39)、海野ゆかり(47)の大御所3人が、モーター劣勢ながら、準優勝戦でそれぞれ2着に食い込み、優勝戦に勝ち上がってきたのは、さすがというしかない。

準優9Rでは田口が4コースからトップスタートを放ち、手堅く差して2着を死守。準優10Rでは5コースの海野が、まくり差しに行きかけたところを、瞬時の判断で差しに切り替え、最内差しから2M小回りで2着に食い込んでみせた。続く準優11Rでは、寺田が2コースから、お手本のような、引き波を避けた巧みな差し技で2着をキープ。3人ともベテランの味を存分に発揮してファイナルに駒を進めてきた。

3人とも、女子王座決定戦(現レディースチャンピオン、2014年からプレミアムG1に変更)で2回ずつ優勝(寺田は07、10年、田口は11、12年、海野は04、16年)している実力者で、若手が台頭している今でも、体を張って世代交代を阻止している。この優出した3人に加え、日高逸子、山川美由紀、岩崎芳美らベテランの壁が厚いからこそ、若手も大きく育つ。女子リーグの人気の一端を見た気がした。

1号艇の出口舞有子が圧倒的な強さで初優勝を飾る

さて、注目の優勝戦だが、1号艇の出口舞有子(28)がコンマ03のトップスタートを決め、あっさりと初優勝を飾ってみせた。3度目の優出で初の1号艇。しかも快速パワーの塩崎、鎌倉に、百戦錬磨の寺田、田口、海野と強力メンバーがそろった優勝戦だったが、腹をくくったスタート攻勢から、他を寄せ付けない圧勝劇で、大器の片鱗を見せつけた格好だ。

今回、低調機ながら優出を果たした寺田、田口、海野に限らず、今年10月に引退した鵜飼菜穂子さん(90~92年に女子王座3連覇)、2012年に引退した横西奏恵さん(女子王座優勝3回)ら歴代の女子のトップレーサーの共通点は精神力の強さにある。今回優出した寺田、田口、海野のベテラン3人を合わせた優出回数は709回で、優勝回数は184回。こんな猛者を相手に、優勝経験がなく、優出もわずか3回目という出口が、インからコンマ03の速攻劇で圧勝して見せた度胸には脱帽だ。

ちなみに、10月に引退した愛知支部の大先輩の鵜飼さん(61)とは、親子ほどの年齢差があるが、鵜飼さんの輝かしい戦歴を引き継ぐ愛知の後輩は、出口かもしれない。レースはまだまだ粗削りな出口だが、ここ一番の度胸、精神力は鵜飼さんを彷彿(ほうふつ)とさせるものがある。今後の活躍を期待せずにはいられない。

オールレディース競走全日程を終えて

これで今年のオールレディース競走は全日程が終了。残すは12月26日から始まる「プレミアムG1 クイーンズクライマックス」&「G3 クイーンズクライマックス・シリーズ戦」を残すのみとなった。今回の住之江で優出した6人の中では、女子獲得賞金ベスト12人によるクイーンズクライマックス(賞金女王決定戦)に女子獲得賞金5位の寺田と同12位の田口が参戦。海野、出口、塩崎の3人は同13位~54位までの42人による同シリーズ戦に出場する。

中でも注目は、クイーンズクライマックス初制覇&賞金女王を目指す寺田と田口。ともに勝負の流れを重視するタイプで、前哨戦とも言える今回の住之江女子戦で、低調モーターながら優出を果たした意味は大きい。中でも寺田は、2節前のレディースチャレンジカップ優勝で、クイーンズクライマックスに逆転出場を決めた勢いがある。

思えば、2001年の「SG グランドチャンピオン」で女子初のSG優出(5着)を果たしたのは寺田だった。これまで女子王座決定戦(現レディースチャンピオン)は2度制覇しているが、クイーンズクライマックスの優勝はまだない。今回優勝すれば、日高逸子(2014年に53歳でクイーンズクライマックス優勝)、山川美由紀(2018年に51歳でレディースチャンピオン優勝)に続く、「50歳代でのプレミアムG1制覇」という新たな金字塔を打ち立てることになる。歴代の女子レジェンドの中でも、屈指の強心臓を誇る寺田の熱いレースぶりに注目してもらいたい。