コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第20回は、12月6日に幕を閉じた若松ボートの「プレミアムG1 第2回BBCトーナメント」を総括したい。

優勝は寺田祥、昨年覇者の面目を保つ

優勝は寺田祥のイン逃げ。抽選で1号艇を手に入れた運気を逃さなかった。寺田は1マークでターンを少し外し、3号艇の吉川元浩のまくり差しが突き刺さったかに見えたが、回ってから前に押す足がえぐかった。節一級の吉川を一気に突き放した足は超抜の域。優勝戦に合わせ、万全の調整を施すあたりは、さすが職人肌の寺田だ。2着は吉川、3着は2コースから差した田村隆信が、超抜級の守屋美穂を競り落とし、昨年覇者の面目を保った。

準優勝戦の2個レースにドラマが生まれた

それにしても、感動したのは準優勝戦の2個レースだ。準優10Rは、カド4コースの原田幸哉がコンマ01の究極スタートから、まくり差しで快勝した。連覇を狙うイン田村としても、コンマ06の文句ないスタートを決め、本来なら九分九厘、イン逃げの態勢だったが、結果として、天才肌の原田の鬼気迫るスリット攻勢が上回った。田村としては、不運としか言いようがない敗戦(2着)と言える。

原田の目の覚めるレースに刺激されたのか、準優11Rも究極のスリット合戦となった。イン毒島誠、2コース吉川はコンマ01のぎりぎりのスタートを放ち、3コースの池田浩二はコンマ01のフライングに散った。直後に平和島グランプリ(池田はシリーズ)を控えていながらも、この腹をくくったスリット攻勢には、3人で計20個のSGレース(毒島7個、吉川4個、池田9個)を制している、超一流同士の譲れないプライドが見て取れる。彼らトップ選手同士のプライドの激突こそ、競艇の最大の醍醐味と言える。久々に鳥肌がたった。

彼ら超一流選手と、普通の一流選手とでは、目に見える旋回力、整備力、スタート力にも差はあるが、目に見えない精神力、腹のくくりにこそ、決定的な違いがある。12月15日に平和島で開幕する「SGグランプリ」では、今回のBBCトーナメントで優勝戦ワンツーを決めた寺田と吉川から目が離せない。また「SGグランプリシリーズ」に参戦する原田の勢いも特筆もの。3節前の津G1を制覇。2節前の「蒲郡SG チャレンジカップ」と今回のBBCも含め、ここ3節の戦績は【8・5・5・3】と、21戦して18回も舟券に絡む活躍ぶりだ。勢いに乗ると手がつけられない”確変モード”の原田から目が離せない。

賞金ランキング1、2位の峰竜太と毒島誠の「責任」

一方、今年の賞金ランキングで1、2位につけている峰竜太と毒島誠には、平和島グランプリを前に、「喝」を入れなければならないだろう。若松BBCでは、エンジン低調で苦戦を強いられた峰だが、現役最強王者として、優勝戦には乗って欲しかった。先に触れたように、峰も出場した準優11Rは究極のスリット合戦だったとはいえ、峰はカド4コースから見せ場を作ることもできず、優勝戦進出を逃した。

かつての「モンスター」野中和夫や「不死鳥」植木通彦らがそうだったように、現役最強と呼ばれる選手にとっては、どんな状況でも優出するのが最低のノルマ、責任とっていいだろう。その選手にとっては酷かもしれないが、それだけファンの信頼と業界の看板を一身に背負っているスター選手の責任は重いということ。現在、賞金ランキング1、2をひた走る峰と毒島の宿命とも言える。

準優で敗退した峰に対して、毒島は優勝戦に駒を進めたが、5コースからコンマ32のスタート遅れ。展示航走から怪しい雰囲気だったが、本番でドカ遅れでは、毒島から舟券を買っていたファンは浮かばれない。SG・7勝のうち、SGナイターで6勝している「ナイターキング」の毒島でも、ナイター開催の若松BBC優勝戦で調整を外してしまうのだから、競艇は難しいというか、奥が深い。

誰よりも悔しい思いをしているのは本人たちだと思うが、ファンの信頼を裏切る形になった峰と毒島には、平和島グランプリ(トライアル2ndの1号艇から参戦)での奮起、そして「現役最強」としてのプライドを存分に見せつけて欲しい。リベンジに期待だ。

今節参戦した女子選手6人の成長に期待

最後に、今節参戦した女子選手6人の頑張りに敬意を表したい。平高奈菜、守屋、平山智加、遠藤エミの4人は準々決勝に進出を果たし、守屋は準優、優勝戦へと勝ち進んだ。男子トップレーサーにもまれることで、成長の速度が加速されるのは間違いない。守屋を筆頭に、今節のBBCで奮闘した女子選手の、「プレミアムG1 クイーンズクライマックス」(26~31日、浜名湖)での圧倒的な走りに期待している。