コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第18回は、29日に幕を閉じた「SGチャレンジカップ」&「G2レディースチャレンジカップ」について物申したい。両シリーズとも、優勝戦は競艇らしい人間関係をバックボーンにした、素晴らしいレースが展開されたと思う。

男子の「SG チャレンジカップ」優勝のナイターキング毒島誠

まず、男子の「SG チャレンジカップ」優勝戦は、毒島誠が貫禄のイン逃げを決め、7個目のSGタイトルを手にした。SG・7勝のうち、ナイターで6勝目と、まさに「ナイターキング」の称号にふさわしい強さを見せつけた。これで優勝賞金3300万円を加算して、賞金ランキングは吉川元浩を抜いて2位に浮上。見事に「トライアル2nd」の1号艇をゲットした。名実ともに、賞金1位の峰竜太と毒島の「2強時代」と言っていい状況だ。

この優勝戦で見逃せないのは、毒島の1マークの航跡。毒島にしてはターンマークを外し気味のターンだったが、それは2コースの久田敏之の差し場を考慮してのもの。万が一、優勝を逃すにしても、1期後輩で同じ群馬支部の久田の差し以外は許さないという、毒島なりの強い決意が働いたターンだったと思う。

久田が差せるよう、懐がやや空いたとはいえ、舟の返り、ターンスピードともに他の選手とは次元が違い、終わってみればイン逃げの独走劇。久田は差して2着追走も、2マークで岡崎恭裕に先回りされて3着に敗れた。エンジンは節一級で、展開にも恵まれながら、2着を死守できないようでは、久田はまだまだSGを勝ち抜くには力不足と言える。

対して、岡崎は1周2マークで毒島の引き波を外した絶妙なターンで2着に浮上。この結果、賞金ランク28位からの逆転劇で、平和島の「SG グランプリ」出場権を奪取した。23歳だった2010年の笹川賞でSGを制覇した逸材は、久田とは役者が違ったということだろう。大器と言われる岡崎なら、平和島グランプリで2度目のSG制覇も夢ではない。

競艇の人間ドラマが凝縮された熱い女子レース

一方、「G2 レディースチャレンジカップ」優勝戦は、2号艇の小野生奈がコンマ12のトップスタートから、イン守屋美浦をジカまくりに出た。最近のボートレースでは、外の4艇を抑え、手堅く差しに構える選手が多い中、小野は迷わず絞っていき、イン守屋をつぶしに行った。守屋の抵抗で大きく流れ、結果は5着に終わったが、「さすが小野!」と思わせる迫力満点のレースだった。

この豪快なレースは、小野が女性レーサーでも屈指の攻撃派ということ以外に、隣の3コースに福岡の大先輩、寺田千恵がいたことが大きく影響している。11月28日現在、寺田は賞金ランキング14位。年末に浜名湖で開催される賞金女王決定戦、「プレミアムG1 クイーンズクライマックス」の出場権(賞金上位12人)のボーダー下。12位の大瀧明日香とは約48万円差で、優勝戦で2着以上なら自力で逆転出場が決まる状況だった。

寺田を慕う小野としては、何としてもイン守屋に対し、攻めるレースを敢行して、寺田に差し場を与えたい。そんな思いがトップスタートにつながり、1マークの迷いない超攻撃的ハンドを導いたと言っていいだろう。これこそ、競艇という公営競技のだいご味。次元の低い不正レースの類いとは違う、競艇の人間ドラマが凝縮されたレースだった。

これで寺田は優勝賞金450万円を加算して、逆転劇で女子選手唯一の9年連続クイーンズクライマックス出場が確定。女性選手で初のSG優出を果たすなど、女子レーサーのレジェンドとして百戦錬磨の勝負強さを発揮したと同時に、いかに後輩のレーサーにリスペクトされる存在であるかも証明した格好だ。

ちなみにボーダー上の賞金ランキング12位だった大瀧は、この日5Rでコンマ04のトップスタートから気迫のイン逃げを決めたが、賞金ランキングで「次点」(わずか約8000円差で13位)に泣いた昨年同様、今年もクイーンズクライマックス出場を逃した。男女ともに、まさにプロスポーツの厳しさが如実に表れた優勝戦だった。