コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第17回は、現在蒲郡ボートで開催されている「SGチャレンジカップ」&「G2レディースチャレンジカップ」の予選4日間を見た感想から書きたい。

4日目10Rの峰竜太と松井の「新旧王者対決」

まず、感じるものがあったのは、4日目10Rの”新旧王者対決”。準優進出へ2着の勝負駆けだった峰竜太に対し、3コースの松井繁はコンマ08の好スタートから、気迫の握りマイで峰を引き波に沈めて2番手を追走。2周1マークでも、松井はまくらせず、差させずの絶妙な航跡を描いて、2着浮上を狙う峰をシャットアウト。松井自身も準優には届かなかったが、名実ともに現役最強の峰の予選突破を全身全霊で阻止してみせた。生涯獲得賞金1位のレジェンドの意地、プライドを存分に見せた一戦だった。

11月26日現在、峰は堂々の賞金ランキング1位、生涯獲得賞金1位(約38億円)のレジェンド・松井も同14位で平和島グランプリの出場は当確となっている。現役王者の峰にとって、今節の痛恨の予選敗退は脳裏に焼き付いているはずで、平和島グランプリでの新旧王者対の再戦、およびSGでのリベンジは見どころの一つとなりそうだ。

SGグランプリとクイーンズクライマックスへの意気込みが感じられた気迫のレース

チャレンジカップは、来月の「SGグランプリ」(12月15~20日、平和島)および「プレミアムG1 クイーンズクライマックス」(12月26~31日、浜名湖)という、1年の最大目標が直後に控えているだけに、さすがに選手の目の色が違う。

初日の4Rでは2周ホームで外から押圧する岡崎に対し、内の桐生は一歩も譲らず舟を押し返して2周1Mを先マイ。7Rでは、3コースの湯川が、2コースの磯部をまくり差しで引き波に沈めると、2周1Mでも内から迫る馬場を強引にねじ伏せる気迫のレースを披露。結果、4着に敗れたが、闘志あふれる「バッチバチ」のレースで、SGレーサーの気迫を見せてくれた。

3日目の6Rではハイパワーのイン上野を、毒島が2コースから気迫のジカまくりでねじ伏せた。結果は稲田に差されて2着だったが、こうした”強いレース”の積み重ねは、ファンだけでなく、選手の脳裏にも焼き付くもの。「毒島強し」という印象が、大一番で有利に働くのは言うまでもない。SGを取る選手は、日々のレースぶり、心構えからして違うのである。

そして予選最終日の4日目。2Rで丸野一樹が絵にかいたようなまくり差し一撃で準優切符を手繰り寄せた。丸野は昨年、今年とG1レースを制覇した成長株。勝負駆けの2Rでは、プロペラを真逆の形に叩き直し、一発勝負をかけてきたという。同じ滋賀支部の守田俊介、馬場貴也という、勝負師型のSGレーサーを手本に、丸野がSGを制する日は近いと思っている。

女子選手屈指の勝負「寺田千恵」が他を沈めて得点率1位に

予選4日間の得点率で準優進出者が決まる男子の「チャレンジカップ」と違い、「レディースチャレンジカップ」は予選5日間の得点率で優勝戦のベスト6が決まる。

連日気迫のレースを展開しているのは、女子選手屈指の勝負師である寺田千恵。パワー劣勢気配ながら、初日9Rでは1Mまくり差しから、1周2Mで塩崎桐加を冷静にさばいて1着。3日目5Rでも1周2Mで冷静に小野生奈を差し返して2勝目を挙げた。4日目5Rでも2周1Mで松本晶恵を冷静にさばいて2着を死守。4日目終了時点で堂々の得点率1位につけている。

年末のクイーンズクライマックス出場(賞金上位12人)へ、ボーダー圏外の14位から逆転出場を狙う立場だが、女子選手唯一の9年連続出場へ視界が開けてきた。ここ一番での気迫、勝負強さこそ、ビッグタイトルを取る選手に共通点。女性選手で初めてSG優出を果たした”勝負師”寺田に、年末決戦制覇の灯がともってきた。

今節の「チャレンジカップ」「レディースチャレンジカップ」は、掛け値なしに、スリリングで白熱したレースが展開されている。普段から、こうした心意気で走ってくれればと思っているファンの方も少なくないだろう。

競艇選手に限らず、プロのアスリートで一年間、緊張の糸を切らさずにプレーをし続けることができる選手は、そうはいない。峰竜太や毒島誠、桐生順平ら”超一流”と呼ばれる選手と、並みの一流選手との差は、そこにある。

選手がどう思っているかは知らないが、ファンにとっては一般レースもSGレースも、舟券を買うレースはどれも一緒。勝負は時の運だが、いつ何時でも全力を尽くし、納得いくレースを見せてくれる選手に、ファンは信頼を置き、舟券で厚く勝負する。ファンに愛される”超一流”が1人でも増えることが、競艇界の発展には不可欠と言えるだろう。