コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第14回は、11月14日に開を閉じた福岡ボート「G1福岡チャンピオンカップ 開設67周年記念」を振り返りたい。

G1福岡優勝は「職人」吉川元浩選手

優勝したのは艇界屈指の「職人」と言える兵庫の吉川元浩(48)。インからコンマ09のトップタイのスタートを決め、難なく逃げ切った。1マークのターンは、まさに職人で、ターンマークをかすめるような、完璧な航跡だった。あの角度とスピードで旋回されては、外の艇に出番はない。

吉川の愛弟子で2号艇の高野哲史(31)も、師匠のターンをなぞるように、完璧な航跡を見せたが、エース機をもってしても、師匠の影さえ踏めなかった。2002年の賞金王決定戦や今年3月のクラシックなどSG・4勝の師匠の壁は、まだまだ高いが、今年7月のオーシャンカップでSG初優出を果たし、2度目のG1優出となった今節で、師匠に続く優勝戦2着。弟子が一皮むけたのは間違いない。

これで、賞金ランキング2位の吉川の獲得賞金は、1億1400万円を突破。グランプリの「トライアル2nd・1号艇」の座が、さらに近づいたと言っていいだろう。24日に蒲郡ボートで開幕する「SGチャレンジカップ」で賞金ランキング1位の峰竜太と激突するが、もしチャレンジカップも優勝となれば、峰を抜いて賞金ランキング1位で、暮れの平和島グランプリに臨む可能性も出てくる。昨年SGを2勝したように、勢いに乗ると怖い吉川だけに、蒲郡の戦いぶりにも目が離せない。

地元福岡勢10人のうち優勝戦まで進出したのは瓜生正義のみ

今節は地元の福岡勢が10人(追加配分の永島裕一はのぞく)参戦したが、優勝戦に駒を進めたのは瓜生正義ただ1人。優勝戦ではパワー劣勢は明らかだったが、1マークで気迫のまくり差しを突き刺した。結果は5着だったが、必ず見せ場を作るのが瓜生と言う男。地元の絶対王者のプライドと、平和島グランプリでの「トライアル2nd」入りへの執念を存分に見せつけたシリーズだった。

一方、瓜生以外の地元勢で「喝」を入れなければいけない選手が複数いる。シリーズの流れを決める重要な初日1Rで、1号艇の前田将太がいきなりまくられてしまった。初日のドリーム12Rも、篠崎仁志がまくられた。両者ともにパワー劣勢気配だったとはいえ、地元の1号艇では、仮に差されても、まくられるのは厳禁。期待した大勢のファンの舟券が紙くずになったことを自覚しなければならない。

また初日2Rの岡崎恭裕にも喝。2コースからスタートでのぞきながら、安全策の差し構えから、3号艇の引き波に沈んだ残念なレース。握りマイや艇間を割るターン技術は艇界屈指の岡崎だが、差して失敗するケースが多いのも岡崎。賞金ランキング28位とグランプリ出場へ後がない状況だけに、初戦で積極果敢なレースをしていれば、今節の結果も違ったものになっていた気がしてならない。

もう1人、ストレスを感じたのは、初日4Rの仲谷颯仁。道中2番手追走ながら、2周1Mで、2艇身も後方にいる内の毒島を回して差し、結果的に5着に敗れたレース。将来性豊かなホープなだけに、姑息なレースはせず、峰竜太のようにガンガン握りつぶる大きなレースを見せて欲しい。期待を込めて言わせてもらう。

ファンを裏切らない前本泰和のグランプリ出場へ期待が高まる

最後に、準優11Rでインからコンマ01の勇み足(フライング)で散った前本泰和について一言。関係者からすれば、売り上げ減に直結する手痛いフライングだろうが、ファンからすれば、前本の熱い思いを十分に察することのできるレースだった。

前本の賞金ランキングはグランプリ出場ボーダー圏内の16位。普段から厳しいレースに徹している前本だけに、優出と賞金加算へ、インから必勝態勢を敷くのは間違いない。安全スタートで2着以下に負けるような、ファンを無視したレースは絶対しない。そんな前本への信頼から、頭舟券がバカ売れしていた。

フライングの結果は残念だが、ファンに対しては筋を通したと言える前本。フライングは1本持ちとなったが、勝負の世界の潮目としては、逆に運気は上がったと言っていいだろう。次節の蒲郡SG「チャレンジカップ」での前本の活躍は必至と見ている。西島義則を筆頭に、ファンを意識した熱いレーサーが多い「赤ヘル軍団」の代表として、前本がグランプリ出場を果たすことを切に願っている。