コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第12回は、11月9日に福岡ボートで開幕する「G1 福岡チャンピオンカップ 開設67周年記念」の事前情報をお届けしたい。年末の平和島グランプリ出場権獲得へ、あるいはトライアル2nd入りを見据え、ボーダー近辺の選手にとっては勝負がかかる、大詰めのシリーズとなる。

吉川元浩と篠崎仁志の「トライアル2ndの1枠争い」に注目

中でも注目しているのは、11月7日現在、賞金ランキング2、3位につけている吉川元浩と篠崎仁志の「トライアル2ndの1枠争い」だ。同じグランプリのトライアル2ndからの参戦でも、ポールポジションの1号艇でスタートを切るのと、2号艇で出場するのでは、天と地の差。しかも賞金1位の峰竜太と別のレースでの1号艇発進だから、その恩恵は計り知れない。

吉川と篠崎仁の賞金差は約660万円。2人とも、この後チャレンジカップが控えているとはいえ、篠崎仁志が福岡G1で地元の利を発揮して賞金を加算すれば、トライアル2ndの1号艇の座がグッと引き寄せられることになる。初日ドリーム1号艇の篠崎仁と3号艇の吉川の激突から目が離せない。

地元総大将の瓜生正義は11月7日現在、賞金ランク8位。F休みで蒲郡のチャレンジカップに出場できないだけに、トライアル2ndのベスト6入りへ、今開催での賞金加算に勝負をかけるのは必至だろう。

SG覇者で、初日ドリームから発進する桐生順平(2号艇)、石野貴之(4号艇)、馬場貴也(6号艇)に至っては、グランプリのベスト18入りへ、まさに崖っぷちの状況。今年SG優出2回と好調の枝尾賢に加え、岡崎恭裕、前田将太ら地元福岡勢にとっても、残り少ないチャンスで、当然気合が入っている。

和島グランプリ出場へ後がない石野貴之が意地を見せるか

さて、そんな中で激励の喝を入れたいのは、昨年のグランプリ覇者の石野貴之だ。昨年まで8回のSG優勝を飾っている男が、今年の優勝は1月の若松ダイヤモンドカップと9月下関一般戦の2回のみ。今年のこれまでの勝率は、2010年以降で最低の6・65だから、言葉は悪いが、前年のグランプリ覇者としては「ていたらく」と言っていい内容で、もちろん平和島グランプも「圏外」。ファンの信頼も揺らいでいる。

そんな石野の意地を垣間見たのは、先月のダービー初日のフライングだ。大外からコンマ02の勇み足だったが、グランプリ出場への意欲の表れとも言える、気迫のスタートだった。そのフライングでF2になりながら、着順はともかく、その後も攻めの姿勢を崩さなかったのは王者の意地、プライドだろう。

F休みで、この後の蒲郡SGチャレンジカップには出場できない。グランプリ出場枠の獲得賞金ベスト18に潜り込むには、今回の福岡G1で優勝するしかない。ここ一番での勝負強さは艇界でも屈指の存在。11月からF2の重しが取れ、心機一転、平和島グランプリ出場へのラストチャンスに挑む石野の走りに、初日から注目してもらいたい。

グランプリ圏外にいる桐生と山崎智也は本領発揮なるか

また、3日の桐生G1優勝で賞金ランク4位に浮上した毒島誠とは対照的に、グランプリ優勝経験者で、現在グランプリ圏外にいる桐生と山崎智也(12、15年優勝)にとっては、今回の福岡G1は意地の見せどころとなる。

17年グランプリ覇者の桐生は近況、精彩を欠く内容だ。ターンスピード、技能面は全国屈指でも、モーターの調整力に課題を残す。SG戦線ではパワー負けするケースが多く、今年はG3と一般戦2勝と、計3回しか優勝がない。SG3勝、G1は10勝の桐生にとって、壁にぶち当たっていると言える2020年。峰竜太と並ぶターン技術の持ち主だけに、ここらで本領発揮を期待したい。

そして最後に山崎智也。このコラムで何度か取り上げているが、SG11勝、G1は31勝というスター選手が、今年は一般戦で優勝1回のみ。レース内容は精彩を欠き、落ち目の三度笠と言わざるを得ない走りが続いている。グランプリ出場の可能性はなくても、グランプリ出場争いが焦点の今シリーズで、グランプリ男の意地を見てみたいものだが……。現状の山崎では、叶わぬ願いだろう。