コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第11回は、11月3日に開を閉じた桐生G1「赤城雷神杯」について触れたい。優勝したのは地元の”絶対王者”の毒島誠(36)。初日ドリーム戦をイン逃げで勝ち、最後もイン逃げできっちり締めた。

どちらも全く隙の無いレース運びで、ファンの信頼に応えるあたりは、同じ群馬のオートレーサーで、”絶対王者”と呼ばれる高橋貢の全盛期をほうふつとさせるもの。今まさに、選手生活のピークと言っていい安定感だった。これで今年の獲得賞金は9000万円を突破。SG平和島グランプリ2ndステージ進出は確定的となった。

精神力と技術力、歴代のトップの毒島誠の強さ

毒島の強さの根源は「心技体」の充実にある。普段から精神と体感を鍛え、技術の鍛錬も怠らない。勝つためにどん欲に努力を続ける姿勢は、まさにトッププロの証しだろう。何よりも常にファンの存在を意識し、一撃必殺で勝ち切る精神力は、歴代のトップレーサーの中でも屈指の存在と言える。

優勝戦も、エンジン自体は山口剛の方が断然強めだったが、まくらせず差させずの完ぺきターンで、山口のまくり差しを封じてみせた。地元G1の優勝戦1号艇で負けるわけにはいかない。大げさではなく、”炎の走り”で手繰り寄せた地元G1優勝。その辺のレーサーとは勝利を追求する気迫、年季が違う。勝つべくして勝ったと言っていいだろう。

優勝戦2号艇で、G1初優勝を狙った地元の久田敏之も死力を尽くした一節だった。左に不動の横綱の毒島、右に節一パワーの山口がいて、過酷な優勝戦となったが、ベストを尽くして舟券圏内(3着)は死守した。毒島の一期先輩だが、毒島同様、気持ちで走る選手だけに、近いうちにG1タイトルを手にするのは間違いない。健闘をたたえたい。

一方、課題の残る選手も

一方、喝を入れなければならないのは、地元の山崎智也、関浩哉、秋山直之。数年前まで桐生の”絶対王者”で、全国でも屈指の実力者だった山崎が、わずか2本しか舟券に絡めないのだから、喝、喝、喝だ。ピークが過ぎたのか、燃え尽き症候群とでも言うべきか。地元のインで2回も負けているようじゃ、ファンの信頼も地に落ちたことだろう。残念でならない。

出場最年少だった地元の関には期待していただけに、心底がっかりだ。オープニングの1Rで1号艇に置かれたのは、地元関係者の期待の表れだが、コンマ22のドカ遅れで、6万円近い高配当を提供した。勝ったのがF2の福来剛じゃ、シャレにならない。小細工なしにビュンビュン握って回るレースぶりは将来性十分だが、特に2コースのレース運びが下手過ぎるなど、課題も少なくない。まだまだ修行が必要足りないということだろう。

さらに地元の秋山直之、土屋智則もG1戦線では力不足ということを露呈した格好だ。SGで優出したこともある秋山だが、最近は一般戦回りが多く、記念戦線では脇役になり下がっている。スタートが遅く、レースも荒いのは昔からだが、かつては記念でも群を抜いていたターンスピードに衰えが見えてきたのは寂しい限り。土屋は技量以上に気持ちで負けている印象で、これではG1タイトルは取れない。記念戦線に踏みとどまるのか、単なる一般レーサーになるのか、今が正念場の気がする。

出場最年長の江口晃生の技と気迫にはファンも拍手

毒島、久田は別にして、ふがいない地元の後輩が多い中、孤軍奮闘したのは出場最年長の江口晃生だ。一節を通して前付けを敢行し、9戦3勝、舟券絡みは計5回。4日目以降はすべて舟券に絡み、最終日の4Rではピット離れで寺田祥からインを奪い、逃げ切っている。まくらせず、差させずの絶妙なターンの軌道は、まさにいぶし銀の職人技。スピードでは若手にかなわなくても、技と気迫で最後まで戦い抜く姿勢は、若手に刺激を与えたに違いない。「走る教科書」と言うべき江口に、ファンから惜しみない拍手が送られていた。

年末のグランプリ出場へ向け、今後のG1戦線、そして今月末に蒲郡ボートで開催される「SGチャレンジカップ」「G2レディースチャレンジカップ」から目が離せない。もちろん、当コラムでも、厳しい視線で、正念場の賞金争いにスポットを当てていく。乞うご期待!