コラム「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」の第8回は、現在開催中の「SG大村ボートレースダービー」の中間報告。さすがに競艇界で最も伝統と格式と誇るダービーだけに、各レーサーの魂のこもった迫真のレースが展開されている。SGレースに限らず、どのレースでも、こうあって欲しいと思うのがファンの心理である。一般戦だろうが何だろうが、常に100%全力投球できる選手は、意外に多くはない気がする。

佳境の3日目、胸が熱くなるレース展開が続出

さて注目のダービーは予選4日間が終了し、準優メンバー18人が出そろった。予選でまず注目すべきは佳境の3日目。「これぞ競艇!」というレースが随所に見られた。

まずは2R。6号艇の西島義則がいつものように回り込み、イン江口の隣の2コースに。このイン職人のベテラン2人に対し、2号艇の市橋卓士が3カドに引く「ベテラン2」対「若手4」の隊形。普通なら3カド有利な隊形だが、イン江口がコンマ02、2コース西島もコンマ05の気迫のスタートで若手を圧倒。江口が逃げ切り、西島は道中不利あって5着も、ベテランのすごみを見せつけるレースだった。

続く3R。初日にフライングを切り賞典除外となった石野貴之だが、1艇身遅れの5コースから気迫のまくり差しを突き刺し、2着に入って見せた。後半7Rも追い上げて3着と、F2の身ながら、3戦連続で舟券に絡む走りで、昨年グランプリ覇者の意地を見せた。

8Rは2コースの毒島誠が絞り気味にイン深川真二をたたいて快勝。1艇身近くも前に出ながら、せこく差しに構える選手も少なくない中、毒島の問答無用のまくりは「これぞ競艇」。また毒島に叩かれながら、ブイ際から巧みに2着に残した深川の職人芸も見事だった。

そして9Rの江口と峰の攻防「これぞ競艇」と言える激戦だろう。2コースの江口は1Mで、3コース峰竜太のまくり差しの軌道を封じて2番手を追走。イン艇と自分の間に隙間を作らない江口のターンは、まさに匠の域。一方、ただでは転ばないのが現役最強の峰で、2周2M、今度は江口の内に鋭く切り込んで、きっちり借りを返した。

峰がすごいのは、突進ではなく、きれいに江口の内に艇を入れ込む旋回技術であること。自分も相手も生き残れない切り込みはただの「突進」、自分も相手も生き残る切り込みは「技術」と思っている。峰の切り込みは、江口を殺さず、自分もしっかり生き残る高度な旋回技術と言える。歴代の競艇選手の中でも屈指のターン技術を誇った中道善博をほうふつとさせる、まさに芸術的なターンだった。

そして、とどめは11Rの今垣光太郎だ。3カドに引いて、スリットでは2コース江夏満に対して、半艇身しかのぞいてなかったが、艇界屈指の闘魂の持ち主は、気迫でぐいぐい絞りまくりを決めて見せた。結果的に、先頭を走る今垣は江夏と2人、フライングに散ったが、3カドの仕事をきっちり果たし、「これぞ競艇」というものを見せてくれた。

競艇は通常、3対3の進入が基本となるが、時として3コースの選手から艇を引き、「3カド」に持ち込むケースもある。この場合、3カドの選手は、外の4~6コースの選手への仁義として、とにかくまくっていくのが暗黙の了解。最近は3カドを主張しながら、差しに構える選手をよく見かけるが、それでは外の艇を殺してしまい、何よりレースがつまらなくなる。3カドは今垣の代名詞でもあるが、彼は何が何でもまくるという3カドの仕事、「選手道」を貫き、豪快に散ったのである。

3カドならまくる、前づけに行くならスタート行く。競艇には長い歴史で築かれた暗黙の役割、「選手道」というものがある。ダービーの3日目は、競艇の魅力を体現したが、いいレースが多かった。こうでなければ、競艇は面白くない。

深谷知博選手のSG初戴冠の流れがきているか

さて、予選4日間を終え、準優に駒を進める18選手が出そろった。得点率1位で、ポールポジションの11R・1号艇を手にしたのは深谷知博。10Rの1号艇は毒島誠、9Rの1号艇は金子龍介が奪い取った。

日本一インが強いと言われる大村で、予選4日間の48レース中、イン逃げは24本。イン逃げ率が5割と低いのは、それだけ各選手が攻めている証拠だろう。初日開幕の1、2Rでのまくり連発に始まり、差し、抜き、まくり差しと、存分に競艇の面白さがレースに出ている。

準優9Rは、節一パワーを誇る佐藤翼を筆頭に、前本泰和、金子とエンジンメンバーがそろった。深川の前づけも必至で激戦区だ。

一方、準優10Rはパワー急上昇の新田雄史に、スタート早い市橋卓士がカド4コース、また峰も5コースから切り込み、イン毒島にとっても安泰とは言えない。

そんな中、3日目から3連勝でポールポジションを奪取した深谷は、節一級のパワーを誇り、コースで動く選手も不在で、イン逃げ必至。SG初戴冠へ流れが向いてきた。