「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」と題した熱血コラムの第4回は、10月4日に終了した「G1児島開設68周年記念(キングカップ)」の総括をしようと思う。

あからさまな地元有利のレースに辟易

準優、優勝戦の総括の前に、まず言いたいのは、5日目の準優以外の一般戦9レース中、6レースで地元岡山勢が1号艇だったことだ。地元有利の番組は、競艇に限らず、競輪、オートレースでも見られる、ある意味「伝統」と言えるものだが、少し、あからさますぎやしないか?

4日間の予選が終わった「敗者戦」とは言え、予選で全滅(準優に1人も乗れず)だった地元の岡山勢に、勝って下さい、と言わんばかりの番組に、不信感を抱いたファンは少なくないと思う。

進入規制の厳しい今の競艇では、ただでさえ1号艇=インが絶対有利の状況だが、予選を終えた敗者戦では、スタートで攻める選手が極端に減るため、イン有利の傾向がさらに強くなる。果たして、地元勢が1号艇の1、2、3、4、6Rは、逃げ4本に抜き2本と決め手は違うが、どれも1号艇の地元勢が勝利している。どうもしっくりしない。

続いて準優勝戦だが、最近のイン絶対有利の例にもれず、1号艇の山崎智也、峰竜太、菊地孝平が難なく逃げ切った。そして優勝戦の1号艇には、予選1位通過で準優勝戦でも1着の菊地孝平が座り、結果的に楽なイン逃げで優勝をもぎ取っている。

結局、コース争いの魅力が失せた今の競艇では、ただ優勝戦の1号艇を争う競技になってしまっている。「舟券の買いやすさ」で言えば、初心者などにはありがたい現状だが、「競技の魅力」という点では、闘志むき出しのコース取り、道中の激しいバトルにファンが熱狂した昔の競艇に比べて、数段落ちていると思うのは、私だけだろうか。

先にも触れたが、優勝戦は1号艇の菊地がインからコンマ09のトップスタートで楽々と逃げ切る、何の面白みもないレースだった。インからしっかり自分の仕事をした菊地は称賛されてしかるべきだが、何の見せ場も作れなかった他の5艇のパフォーマンスは残念でならない。

2コースの峰はテクで決勝に乗ったが、決して出ているとは言えない足色で、コンマ12の平凡スタートでは、イン菊地を差せるはずがない。優勝戦では機力一番の3コース山崎智也は、まさかのどん尻スタート(コンマ18)では、握って回って3着が精いっぱい。もしコンマ0台で質のいいスタートを切れば、まくり差しが届くパワーはあった。

カドの松井はスタート後に伸びたが、パワー機の山崎に伸び返されて万事休す。5コース篠崎はパワー不足が明らかだったが、大外の吉川元浩はしぶとく追い上げ、3着争いに絡んできた。吉川はいつも見せ場を作ってくれるので、ファンにとってはありがたい存在だ。

独特の存在感を放つ西島義則

今節も枠順に大きく左右される、例によって、動きのないというか、淡泊なシリーズとなったが、その中でキラリ光ったのが、西島義則だ。前のコラムでも、西島については何度か触れているが、とにかくレースを面白くしてくれる希少な選手として、独特な存在感を放っている。

2日目にオールスローのインコースからフライングを切ってしまったが、その後も闘志あふれるレースを続け、最終日の2Rでは、6号艇からインを奪い、コンマ08のトップスタートを決めて、まんまと逃げ切っている。フライングをしようが、何があろうが、最後まで自分のスタイル(イン水域奪取)を貫く競艇界のラストサムライ。毎回、西島の名を挙げなくてはならないほど、今の競艇界には個性派が少ないということか。寂しい限りだ。

現地観戦してあらためて思う競艇界の未来

余談だが、今回の児島キングカップには、予選最終日の4日目(10月2日)に現地観戦した。優良指定席は8割方、埋まっていて、一般スタンドも、まずまずの客入りだった。ただ客の年齢層をざっと見ると、60歳以上が4割、40~60歳が4割で、20~30歳代の若手は2割程度しかいなかった。

いずれ私を含めた老齢、中年層がいなくなった後、競艇界はどうなるのだろうか。大きなお世話だが、いつもふと不安になってしまう。そんな状況だが、競艇の売り上げは、無観客の時期も含めて、上昇カーブを描いているから不思議でならない。

レースの魅力が落ちているのに、売り上げだけは上昇している。いずれ現在の主力を占める年配層が消えた時、今と同じ売り上げを維持できているのか? 現在のように、競艇場にある程度の客が集まるのか? リモート舟券全盛の中で、競艇の魅力が十分に伝わるのか? その辺の問題も、いずれこのコラムで書いていきたいと思う。

いずれにしろ、選手間や業界ばかりに目を向ける”サラリーマンレーサー”ではなく、業界の根底を支える、舟券を買うファンに目を向ける真のプロフェッショナルが多く育つ業界であって欲しいと願うばかりだ。凡人の私を含め、多くのファンは、競艇(ボートレース)という素晴らしい公営ギャンブルに、現実では味わえない非日常を求めている、と勝手に思っている。頼むぞ、競艇!