「業界歴35年 御大Xが競艇に物申す!」と題した熱血コラムの第3回は、現在開催されている「G1児島開設68周年記念(キングカップ)」に触れたい。

地元岡山勢12人のうちベスト18に勝ち上がった選手なし

10月2日に予選最終日を終え、準優勝戦に駒を進める18人が決まった。何はともあれ、まず言いたいのは、地元の岡山勢の情けなさだ。今節は地元勢が12人も参戦しながら、準優勝戦のベスト18に誰一人、勝ち上がることができなかったというのだから、”喝”を何発入れても事足りない。

何より、地元開催だというのに、何とかしようとする姿勢がまるでないことに喝だ。今節のワーストエンジンの山本寛久がゴンロク(5、6着)の山を築いたのは仕方ないが、末永由楽、渡辺和将、白神優、藤原啓史朗、長谷川雅和らの”準記念組”は十分戦える足がありながら、なすすべなく予選敗退した。

特に残念だったのは若手期待の渡辺和将。初日4Rは今垣光太郎の前づけで、絶好のカド5コース発進。スタート決めてまくり一撃かと思われたが、1マークでイン柳生泰二を回しての差しを選択。結果届かず2着だった。記念戦線で売り出すには、とにかくファンにアピールする豪快なレースが不可欠。渡辺は初戦の残念なレースで、完全に勝負の女神から見放された格好で、続く初日9Rは1号艇でまくられ、6着に沈んだ。

勝負ごとに「たら・れば」は禁物だが、渡辺がもし初戦で気持ち良くまくっていれば、続くイン戦も勝利し、初日連勝でシリーズの主役に躍り出ていたかもしれない。少なくても、準優には駒を進めていたはずだ。若手には、負けることを恐れず、ファンを意識したレースを心がけてもらいたいと切に願っている。

他の地元勢も、インパクトに欠ける走りが目についた。予選最終日で勝負が掛かっているなら、仮に惨敗してもコース取りで動くなり、腹をくくってフライング覚悟のタッチスタートを行くなり、舟券を買っているファンを納得させるパフォーマンスを見せて欲しい。まるで流れ作業のような枠なり進入の連続で、見せ場なく敗退では、地元勢の気迫を期待して舟券を勝負しているファンは浮かばれない。

かつて岡山勢と言えば、一癖も二癖もある個性派の集まりだった。総大将の黒明良光は、たとえエンジンが出てなくても、「弾丸スタートからの絞りまくり」という自分のスタイルを貫いた。まくり不発でも、1マークで飛ばされようとも、舟券を買っているファンは黒明の完全燃焼の仕事ぶりに、負けて納得だった。

また、バリバリのイン屋だった関忠志は、相手が誰であろうと関係なく、イン水域を奪いに動いた。80㍍を超える深インになることも多々あったが、まくられようが、差されようが、インから自分の仕事に徹した関を非難するファンは、いなかった。

ランナバウトとの二刀流で頂点を極めた重量級の大森健二、いぶし銀のテクが光った林兄弟(林通、林貢)、村上水軍の末裔という触れ込みで、水面でも大暴れした村上一行……。とにかく岡山の選手は個性豊かで、水面に出れば、各自の持ち味をいかんなく発揮することに集中した。だから彼らの舟券で勝負するファンも、負けて納得なのだ。今回の、地元勢の没個性的な戦いぶりを、往年の地元スターらはどう思っているのだろうか。

ちなみに、今のボートレースで自分のスタイルを貫く個性派と言えば、西島義則、今垣光太郎、深川真二、江口晃生、西田靖、阿波勝哉に、どのレースでも全力で勝ちに行くという意味で峰竜太あたりか。時代が違うと言えばそれまでだが、競艇の最大の魅力であった人間臭さがなくなったのが残念でならない。

存在感を放った唯一の地元選手「茅原悠紀」

そんな中、今シリーズでただ一人、存在感を放った地元選手は、天才肌の茅原悠紀だろう。F2の身ながら、6走中5回も舟券に絡む奮闘ぶり。初日の不良航法(減点10)が響いて、予選敗退したが、随所に地元総大将としてのプライドを爆発させていた。

茅原は、常にファンを意識した走りに徹している、今の岡山では数少ないプロ意識の持ち主。その華麗な旋回力は、漫画モンキーターンのモデルとして有名な、あの浜野谷憲吾も一目置いているという。先輩のトップ選手にもリスペクトされる、豪快なターンと崇高なプロ意識。だから茅原は”全国区”なのだ。

若手の中村泰平と女子の大山千広には光るものが

何かと腹の立つ今シリーズだが、必死に輝きを放っている若手が、ヤングダービー帰りの中村泰平と女子の大山千広だ。

今節最年少、24歳の中村泰平は、勝ち星こそないものの、6戦して5回舟券絡みと、ファンやトップ選手らに名前を売る気迫の走りを披露。準優12Rの5号艇を手にいれた。ヤングダービーで優勝した、同じ愛知の磯部誠に刺激を受けているのは想像に難くない。SGクラスの強豪相手で楽ではないが、勢いのある若手ほど怖いものはない。一気に優勝戦進出を果たしてもらいたい。

あと一人、F2の大山千広も必死に舟券にからもうともがいている。決していい足とはいえないが、男子顔負けのハンドルで奮闘。予選最終日の4日目は、道中さばいて3着2本にまとめた。天才肌の女子レーサーで、史上初の女子SG制覇を期待させてしまう逸材。旋回技術やターンスピードはもちろんだが、F2の逆境でもあきらめない、不屈の闘志が大山の最大の魅力かもしれない。

10月3日は、いよいよ佳境の準優勝戦。エンジンパワーで10Rの1号艇を手にした山崎智也、勝ちに徹する走りで順当に11Rの1号艇に座る峰竜太、決してエンジンは出てないが、スタート力と強いハートで12Rの1号艇を奪取した菊地孝平。準優での、この3者の牙城は高く、固い。